特殊建築物定期調査とは?対象・報告頻度や罰則についても
  • コラム
Date:2024/02/15

特殊建築物定期調査とは?対象・報告頻度や罰則についても

建築基準法では、建築物の所有者または管理者に、特殊建築物定期調査が義務付けられています。法令で規定された頻度で資格を持っている人による調査を行い、結果を報告しなければいけません。

特殊建築物の所有者または管理者の方の中には、「定期調査は何年ごと?」「定期調査について詳しく知りたい」という方も多いでしょう。

この記事では、特殊建築物定期調査の対象建築物や報告頻度、罰則などを解説します。自身の所有する建物が定期点検の対象か知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

特殊建築物定期調査とは?

特殊建築物定期調査とは?

特殊建築物定期調査とは、不特定多数の人が利用する建築物を対象に、大きな事故・被害を防ぐための定期調査です。建築段階から防火区画の設定や避難階段・避難器具の整備などの安全対策を確認し、建物の老朽化による事故や災害時の二次被害を防ぎます。

特殊建築物定期調査は、建築基準法12条によって定められており、定期的に調査資格者による調査を実地し、結果を特定行政庁へ報告しなければいけません。

建物を利用する多くの人の命を守るために、建築物の所有者または管理者は規定に沿って、定期的な点検を実施しましょう。

 

特殊建築物定期調査の報告制度について

特殊建築物定期調査の報告制度について

特殊建築物は大きな事故や災害を防ぐために、適切な維持管理を行う必要があります。定期的に建物の安全性を調査し、結果を報告しなければいけません。

下記では、特殊建築物定期調査の報告制度について、対象の建築物や報告頻度を解説します。検査を実施できる有資格者や点検内容についても記載しているので、参考にしてください。

 

対象の建築物

特殊建築物定期調査の対象となる建築物は、以下のとおりです。

調査対象となる建築物 調査対象となる条件
劇場・映画館・演芸場 ・3階以上もしくは地下の階にあり、用途に供する床面積が100㎡を超える場合
・主階が1階になく、用途に供する部分の床面積が100㎡を超える場合
・客席の床面積が200㎡を超える場合
観覧場・公会堂・集会場 ・3階以上もしくは地下の階にあり、用途に供する床面積が100㎡を超える場合
・客席の床面積が200㎡を超える場合
病院・有床診療所・ホテル・旅館・就寝用福祉施設 ・3階以上もしくは地下の階にあり、用途に供する床面積が100㎡を超える場合
・2階の床面積が300㎡以上の場合
※病院・有床診療所は2階の部分に患者の収容施設があることが条件
体育館・博物館・図書館・美術館・ボーリング場・スキー場・スケート場・水泳場・スポーツ練習場 ・3階以上もしくは地下の階にあり、用途に供する床面積が100㎡を超える場合
・客席の床面積が2,000㎡を超える場合
百貨店・マーケット・展示会・カフェー・キャバレー・ナイトクラブ・バー・ダンスホール・遊技場・公衆浴場・待合・料理店・飲食店・物品販売業を営む店舗 ・3階以上もしくは地下の階にあり、用途に供する床面積が100㎡を超える場合
・2階の床面積が500㎡を超える場合
・床面積が3,000㎡を超える場合

調査対象や条件は、特定行政庁が建物の用途や各自治体の状況に応じて指定しているケースもあります。建築物の所有者や管理者は、政令だけでなく特定行政庁の指定も把握することが必要です。

詳しくは、専門業者へ問い合わせましょう。

 

報告頻度

特殊建築物定期調査の報告頻度は6か月〜3年に1回です。報告の頻度は、建築物の用途や特定行政庁の指定によって異なります。

たとえば、劇場や観覧場などは1年に1回であるのに対して、学校や病院(患者の収容施設があるものに限る)などは3年に1回です。

また東京都の場合、特殊建築物定期調査には「初回免除制度」という制度があります。新築・改築後は、「初回免除」として翌年の調査が免除されます。報告頻度や初回免除制度の詳細は、建築物を管轄する特定行政庁のホームページで確認してください。

 

検査を実施できる有資格者

特殊建築物定期調査を実施できるのは、以下の資格を持っている人です。

・一級建築士
・二級建築士
・指定された講習を修了し、特殊建築物調査員資格者証を与えられた者

定期報告は、上記の資格を持っている人が在籍する業者に依頼するのが一般的です。特殊建築物の検査を業者に依頼するときは、依頼する業者に資格を持っている人が在籍しているか、事前にチェックしましょう。

 

点検内容

特殊建築物定期調査では、以下の5項目を調査します。

敷地および地盤 地盤、敷地、敷地内通路、塀、擁壁、排水管の詰まりや衛生面の状況
建築物の外部 基礎、外壁の躯体、外装仕上げ剤、サッシの劣化および損傷の状況
屋上および屋根 屋上面、屋根の劣化および損傷の状況
建築物の内部 防火区画、床、壁、天井、防火設備、採光・換気、建築材料の状況
避難施設など 通路、廊下、バルコニー、出入り口、階段、排煙設備、その他設備の状況

特殊建築物定期調査では、建築物だけでなく、敷地や設備も調査項目に含まれています。

 

特殊建築物定期調査の流れ

特殊建築物定期調査の流れ

特殊建築物定期調査の流れは、以下のとおりです。

1、通知の受け取り
2、業者の選定
3、調査の実施
4、報告書の作成

特定行政庁から「特殊建物等の調査」と記載がある通知がきたら、専門業者に特殊建築物定期調査の依頼をしましょう。調査の実施には、さまざまな書類が必要です。依頼する業者にどのような書類が必要なのかを確認して、用意してください。検査日の1週間前ごろまでに業者に送っておくと安心です。

定期報告は、現場調査から報告書の提出までに時間がかかります。余裕を持って特殊建築物定期調査を依頼するようにしましょう。

 

特殊建築物定期調査の罰則について

特殊建築物定期調査の罰則について

特殊建築物定期調査の実施・報告を怠った場合「100万円以下の罰金」が科せられます。調査や報告を怠っただけでなく、虚偽の報告をした場合にも同様の罰則が科せられるので注意してください。

さらに、報告を怠って災害や事故が起きると、刑法ならびに民法によって罰せられます。裁判で悪質だと判断された場合には、執行猶予がつかずに実刑判決が下される事例も増加しています。

特定建築物定期調査は、必ず行わなければいけません。建物や建物を利用する多くの人々の安全を保つためにも、必ず調査を行いましょう。

 

特殊建築物定期調査の業者をお探しなら

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建築物の所有者または管理者には、建築基準法によって特殊建築物定期調査が義務付けられています。建物を利用する多くの人の命を守るために、必ず調査を行わなければいけません。

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