防火対象物の点検は、建物の火災を予防し、万が一火災が発生した場合に、適切な消防活動や避難が行えるかどうかを確認するために欠かせません。
百貨店や映画館など防火対象物となる建物は、「防火管理者を選任しているか」「防火戸の閉鎖に障害となる物が置かれていないか」などの点検を1年に1回行い、消防長または消防署長に報告することが義務付けられています。
しかし、建物のオーナーは防火対象物の点検にかかる費用について、不安を感じることもあるでしょう。
この記事では、防火対象物点検の費用について詳しく解説します。費用を抑えるコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
防火対象物点検の費用負担について
一般的に防火対象物点検の費用は、管理権原者となる建物のオーナーが負担します。しかし、テナントビルの場合は、テナントの所有者も管理権原者となり、点検の費用を負担することもあります。
防火対象物点検の費用を、建物の所有者かテナント所有者のどちらが負担するかについて、明確な決まりはありません。そのため、多くの場合は賃貸借契約のときに、防火対象物点検の義務者を定めています。
実際には、建物の所有者や管理会社が費用を負担して点検を行い、所有者は協力するだけでいいというケースが少なくありません。しかし、「所有者が責任を持ち、費用も負担してください」という場合もあります。そのため、誰が何を負担するのかを明確にするために、賃貸借契約の内容を事前に確認しておきましょう。
防火対象物点検の費用相場
防火対象物点検の費用相場は、建物の大きさによって大きく変わります。詳しい費用相場は、下記のとおりです。
点検対象面積 | 防火・防災 |
~100 m2 | 23,000円~27,000円 |
101~500 m2 | 26,000円~40,000円 |
501~1,000 m2 | 46,000円~58,000円 |
1,001~5,000 m2 | 64,000円~102,000円 |
防火対象物の点検にかかる費用は、依頼する業者によっても異なります。消防用設備点検や防災管理点検を合わせて実施することによる値引きがあったり、交通費などの諸費用がかかったりする場合もあります。
そのため、防火対象物の点検を行ってくれる業者へ見積もりを取ってもらうのがおすすめです。
防火対象物点検の費用を抑えるコツ
消防設備点検の費用は、業者によって大きく変わります。少しでも防火対象物点検の費用を抑える方法は、下記の3つです。
- ・相見積もりを取る
- ・地域の業者に依頼する
- ・特例認定を受ける
それぞれ詳しく説明します。
相見積もりを取る
防火対象物点検の費用を複数の業者へ見積もりを依頼することで、料金やサービス内容などを比較できます。
防火対象物の点検は、建物の大きさによって大きく費用が異なるため、依頼してみないと分からない部分が大きいです。相見積もりを取ることで、相場がどのくらいなのか理解できます。また、料金だけでなく業者の信頼性や技術力、提供するサービス内容などを比較することも可能です。
複数の業者を比較することで、あなたに最適な業者を選択でき、費用を抑えられます。
地域の業者に依頼する
防火対象物の点検を依頼すると、業者によっては交通費がかかる場合があります。交通費は、「店舗から片道30kmを超える場合は別途追加料金」や「現地へ行くまでにかかる交通費が必要」など、業者によってさまざまです。出張となる場合は、宿泊費がかかることもあるでしょう。
地域の業者に依頼することで、交通費を抑えることが可能です。
特例認定を受ける
防火対象物点検には、特例制度があります。防火対象物点検の資格者による点検の結果が、3年間連続して点検基準に適合していると認められると、以後3年間の点検と報告義務の免除を受けるための特例申請ができるのです。
特例要件に適合すると判断される要件は、下記のとおりです。(一部抜粋)
- ・管理を開始してから3年以上経過していること
- ・過去3年以内に消防法令違反をしたことによる命令を受けていないこと
- ・過去3年以内に防火対象物点検報告が1年ごとにされていること
- ・防火管理者の選任および消防計画の作成・届出がされていること
- ・消火訓練および避難訓練を年2回以上実施し、あらかじめ消防機関に通報していること
- ・消防用設備等点検報告がされていること
防火対象物点検の報告結果を消防署へ報告し特例認定の申請をした場合、その建物を消防機関が検査し、特例要件に適合するとの認定を受ければ、防火対象物点検が3年間免除されます。また、建物全体が特例の認定を受けた場合は、その旨を「防火優良認定証」により表示することが可能です。
特例認定を受けてから3年が経過すると、失効となります。認定が失効する前に新たに認定を受けることで継続することが可能です。また、消防法令違反が発覚した場合は、消防機関から認定を取り消されるため、注意してください。
建物が「特例認定」を受け、防火対象物点検の報告が3年間免除されれば、費用を抑えることにつながります。
防火対象物点検の費用をチェック
防火対象物点検の費用は、一般的に建物のオーナーが負担します。しかし、家を借りて住む人やテナントの所有者が点検費用を負担することもあります。防火対象物点検の費用をどちらが負担するかについて、明確な決まりはありません。賃貸借契約のときに、しっかりと確認しておきましょう。
防火対象物点検の費用相場は、表で紹介した通りです。建物の大きさや業者によって費用は大きく変わるため、業者へ依頼する前に見積もりを取るのが安心です。
また、防火対象物点検の費用を抑えるためには、複数の業者へ相見積もりを取って比較したり、特例認定を受けたりするといいでしょう。
カメガイ防災設備でも、防火対象物点検の資格を所有する社員が在籍しているため、防火対象物定期点検を行うことが可能です。防火対象物の点検でお困りの方は、ぜひカメガイ防災設備にお任せください。