消火器の設置を予定している方のなかには、「実際に何本必要なのか」「設置するうえでの注意点は何か」などが気になる方もいるのではないでしょうか。
消火器は、万が一の火災から命を守る重要な設備であるため、基準に従って正しく設置することが大切です。設置する基準は、消防法に基づいて決められており、必要な本数は建物の種類や面積によって異なります。
この記事では、消防法に基づいた消火器の設置基準について詳しく解説します。設置方法や注意点、消火器の設置や点検を依頼できる業者に関する内容も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
消火器の設置基準
消火器の設置基準は、「消防法施行令 第10条」に基づいて定められています。施設の種類や面積から、消火器の設置義務があるかどうかを判断します。
消火器の設置が義務付けられている建物の例は、以下のとおりです。
設置する対象物 | 延べ面積 | 消火器の本数を算出するときに 必要な基準面積 |
・劇場、映画館、演芸場、観覧場 ・重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡等の建造物 ・一定の条件を満たす飲食店、病院、診療所 |
・面積に関係なく設置が必要 | ・非耐火構造:50㎡ ・耐火構造:100㎡ |
・公会堂、集会場、百貨店 ・マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場 ・旅館、ホテル、宿泊所 ・老人デイサービスセンター、保育所その他類するもの |
・150㎡以上 ・一定数量以上の危険物、指定可燃物を貯蔵し取り扱うもの及び地階無窓階もしくは3階以上の階は50㎡以上 |
・非耐火構造:200㎡ ・耐火構造:100㎡ ※2019年10月より飲食店は一部設置が義務化 |
・各種学校その他類するもの ・図書館、博物館、美術館、その他類するもの ・神社、寺院、教会その他類するもの |
・300㎡以上 ・一定数量以上の危険物、指定可燃物を貯蔵し取り扱うもの及び地階無窓階もしくは3階以上の階は50㎡以上 |
・非耐火構造:200㎡ ・耐火構造:400㎡ |
上記の表をもとに、消火器を設置する必要がある施設なのか判断します。
右欄は、必要な消火器の本数を算出するときに利用する基準面積です。設置が義務付けられている建物に該当する場合は、基準面積を把握し、必要な設置数を確認しましょう。
消火器の設置方法・注意点
消火器を設置するときの「設置数の計算方法」と「設置するときの注意点」について、それぞれ解説します。
設置数の計算方法
必要数を計算するときの手順は、以下のとおりです。
【計算方法】
- 1、必要な能力単位を算出する
- 2、消火器の本数を割り出す
まずは、建物にどのくらいの消火能力が求められるか(能力単位)を計算します。
広さ600m²の展示場で、基準面積が100㎡(耐火構造)に該当する場合、必要な能力単位は以下のとおりです。
次に、必要な消火器の本数を割り出します。
消火器の種別 | 能力単位 | 必要な消火器の本数 |
粉末3型消火器 | 1 | 6本 |
粉末6型消火器 | 2 | 3本 |
粉末10型消火器 | 3 | 2本 |
この場合、能力単位1の消火器なら6本、能力単位2の消火器なら3本必要です。
消火器は、サイズや薬剤の種類に応じて、消火剤が到達する最大の高さが異なります。能力単位が上がるほど消火能力が高くなるため、少ない本数でも基準を満たしやすくなるのです。
必要な能力単位を算出する計算に基づき、能力単位である「6」を満たすように消火器の種類や本数を決め、設置する必要があります。一定量の危険物を貯蔵または取り扱う建物や電気設備がある施設などは、指定数以上の消火器が必要になるため、設置条件の詳細を確認することが大切です。
設置するうえでの注意点
消火器は、どこに置いても良いわけではなく、以下の規定にしたがって設置しなければいけません。
- ・通行や避難の妨げにならず、必要時にすぐに持ち出せる
- ・防火の対象物から歩行距離が各階ごとに20m以下(大型消火器は30m以内)
- ・床面からの高さが1.5m以下に設置する
- ・「消火器」の標識を見やすい位置に貼り付ける
- ・振動や地震で転倒もしくは落下しないようにする
- ・高温多湿になりやすい場所を避ける
- ・凍結や変質、噴出する恐れが少ない場所に置く
- ・屋外・厨房や蒸気・ガスなどが発生する場所では、消火器を箱に入れて防護する
「歩行距離」とは、あくまで歩行したときの距離です。動かせないものや床に固定された障害物がある場合は、迂回したときの距離で計算します。一方、軽くて動かせるものの場合は、直線上の歩行距離で設置場所を決めます。
また、消火器の注意書きをよく確認し、指示通りに正しく安全に設置することも大切です。
消火器の付加設置について
消火器を設置する本数は、建物の延べ面積だけでなく、他の条件にも影響されます。条件に該当する場合、消火器を追加で設置(不可設置)しなければなりません。
以下の設備がある場所では、消火器の付加設置が義務付けられています。
場所や設備 | 義務 |
少量危険物 | 灯油やガソリンなどを保管する場所では、危険物に対応している能力単位1以上の消火器を設置 |
指定可燃物(綿花や木屑など) | 可燃物の量が規定の50倍を越えるとき、1単位以上の消火器を設置 (指定可燃物を500倍以上貯蔵もしくは取り扱う場合は大型の消火器が必要) |
電気設備(変圧器や発電設備) | 電気室などの設備は、床面積100m²以下に1本の消火器を設置 |
多量の火気を使用する場所 | ボイラー室や乾燥室などの火気を取り扱う場所では、床面積25m²以下に1本の消火器を設置 |
電気設備を例にすると、延べ面積が100m²ごとに1本の消火器が必要で、延べ面積が101m²だった場合は2本設置する計算です。
危険物や燃えやすいものを取り扱っていたり、管理に危険を伴ったりする場所では、付加設置が必要なので注意しましょう。
消火器点検の必要性
消火器の点検は、消防法「第17条の3の3」に基づき、設置から6ヶ月に最低1回点検し、結果を消防署に提出しなければなりません。
点検や報告を怠ってしまうと、法律違反になり30万円以下の罰金又は拘留が定められています。
消火器の点検は、万が一火災が発生したときに機能を発揮し、施設と人命を守るために必要不可欠です。突然の火災にも安全に対応できるように、消火器の点検義務は必ず守るようにしましょう。
一定の条件を満たしていれば、消火器の点検を自分で実施することも可能です。しかし、専門知識がないと安全かつ正確に点検できるとはいえません。点検の正確さは人命にも関わるため、消火設備の点検は「消防設備点検資格者」の資格を保有している専門業者に委託する方法がおすすめです。
消火器の設置に関するご相談なら
今回は「消防法に基づく消火器の設置基準・方法」について解説しました。
消火器は、火災から命を守るために、決められた基準に従って設置することが大切です。設置する義務の有無や本数は、施設の種類や延べ面積をもとに決まっています。
消火器を設置するときは、設置する環境や分かりやすい表示、防火対象物からの距離に気を付けなければなりません。また、追加で設置しなければいけない条件や、点検義務も守る必要があります。
正しい設置方法や基準を守らず、点検を怠ってしまうと、安全が確保できないだけでなく違反による罰則が発生するため注意が必要です。
なお、消火器の点検は「カメガイ防災設備」にお任せください。
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