屋外消火栓の設置や導入を検討している人のなかには、「屋外消火栓はどのくらい種類があるのだろう」「設置の基準や費用について知りたい」と考えている方もいるでしょう。
屋外消火栓とは、建物の周囲に設置される火災の消火を目的とした設備です。消防法施行令第19条で設置基準が規定されており、どこに設置しても良いわけではありません。
この記事では、屋外消火栓の種類や設置基準、費用について詳しく解説します。また、設置を依頼できる業者の紹介もしていますので、屋外消火栓を導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
屋外消火栓とは?
屋外消火栓とは、屋外からの消火活動に用いられる消防用設備のことです。1階から2階で火災が発生したときに、隣接する建物に延焼するのを防ぐ目的があります。
主に、平屋建ての建物や工場、火災が発生しやすい作業現場などの周囲に設置されている設備です。
屋外消火栓の構造は、水源、加圧送水装置、ホースおよびノズルといった屋内消火栓と同様であり、誰でも操作できる簡単な仕組みになっています。
貯水槽や水源から、加圧送水装置で水を送り込むことで、屋外にある消火栓から放水し、火災を消火します。
防護できる水平距離が40m以上あり、屋内消火栓の基準である25mと比較するとより広い範囲を消火できることが特徴です。
屋外消火栓の種類
屋外消火栓の種類は、主に以下の3つです。
・器具格納式消火栓
・地下式消火栓
・地上式消火栓
それぞれ詳しく解説します。
器具格納式消火栓
器具格納式消火栓とは、赤色の格納箱のなかにホースやノズル、開閉弁などがすべて入っているタイプの消火栓です。
通常、壁や床に設置されており、火災が発生したときは、ホースとノズルを取り外して広げれば、誰でもすぐに消火活動ができることが特徴です。
器具格納式消火栓は、火災の拡大を防ぐために重要な設備として広く認識されており、多くの工場や作業場、公共施設など、さまざまな施設に設置されています。
地下式消火栓
地下式消火栓は、地面の下に設置されるタイプの消火栓です。
主に都市部や交通量の多い場所で利用されており、地下に設置されているため、通常の気候条件では凍結のリスクが低く、また火災発生時に外部からの損傷を受けにくいという特徴があります。
消火活動のときには、専用の器具を使って蓋を開け、消火ホースを接続して使用します。
地上式消火栓
地上式消火栓は、地面の上に設置されているタイプの消火栓で、消火ホースを接続するためのバルブや接続口が地上に露出しているのが特徴です。
一般的には、道路の脇や公共施設の近くなど、すぐに使用できる場所に設置されています。
地上式消火栓は、設置場所が明確であるため、緊急時に素早く発見して使用できるというメリットがあります。また、消火ホースや器具の接続が地上で行われるため、操作が比較的簡単であり、迅速な消火活動が可能です。
屋外消火栓の設置基準
屋外消火栓の設置基準は、消防法施行令第19条で規定されています。主な基準について、機能性や建物、表示の仕方に分けてまとめているので、確認してください。
機能性
屋外消火栓の設置をするときは、消火栓の機能を最大に発揮できるよう、以下の基準が設けられています。
距離の基準 | 建物のどの部分からも、消火栓のホース接続口までの距離が40メートル以内に収まるように設置する必要がある |
ホースの長さ | 消火用ホースの長さは、消火栓の接続口から40メートル四方の範囲内にある建物の各部分まで、確実に水が届く長さでなければいけない |
水源の量 | 消火栓に供給される水の量は、最大2つの消火栓を同時に使うことを想定し、それぞれに7立方メートル(7,000リットル)分の水を確保する必要がある |
放水性能 | 屋外消火栓は、すべての消火栓を同時に使用した際にも、ノズルの先端で放水圧力が0.25MPa以上、かつ毎分350リットル以上の水を放出できる性能が必要 |
消火器具の収納 | 消火栓の放水用具を収納する箱は、避難経路や通行の邪魔にならない場所に設置する必要がある |
非常電源の設置 | 火災時に消火栓が確実に機能するよう、非常用の電源設備を設置しなければいけない |
基準を守ることで、屋外消火栓は効果的に機能し、火災時の迅速な対応が可能になります。
設置する建物
屋外消火栓を設置する建物においては、以下の基準が設けられています。
【床面積に関する基準】
建物の種類 | 1階または1階と2階の床面積基準 |
耐火建築物 | 9,000平方メートル以上 |
簡易耐火建築物 | 6,000平方メートル以上 |
その他の建築物 | 3,000平方メートル以上 |
建物の1階部分または1階と2階部分の床面積が、上記の基準以上である場合に、この基準が適用されます。
【同一敷地内の複数の建物に関する基準】
階数 | 外壁間の水平距離の基準 | 取り扱い |
1階 | 3メートル以下 | 1つの建物とみなす |
2階 | 5メートル以下 | 1つの建物とみなす |
同じ敷地内に2つ以上の建物があり、建物の外壁同士の距離が、1階部分では3メートル以下、2階部分では5メートル以下の場合、1つの建物として扱います。
ただし、これらの基準は耐火建築物や簡易耐火建築物には適用されず、一般的な建物にのみ該当します。
表示の仕方
消火栓は誰でもわかるように表示することが大切であり、以下の基準が設けられます。
表示のサイズと色 | ・消火栓の表示は、縦100mm以上、横300mm以上のサイズで作成し、赤い背景に白い文字で記載する必要がある |
赤いランプの設置位置 | ・消火栓の位置をわかりやすくするために、赤いランプを消火栓のすぐ近く、または消火栓ボックスの上に設置する必要がある |
赤いランプのサイズ | ・赤いランプの有効な投影面積は、直径60mm以上、またはそれと同等の面積が必要
・側面部分の面積は、前面部分の面積の4分の1以上であること ・平面型(薄型)やリング型の赤いランプも使用可能 |
これにより、消火栓の位置が視覚的にわかりやすくなり、緊急時に迅速に発見できるようになります。
屋外消火栓の設置費用について
屋外消火栓の設置費用は、約80万円が相場です。建物の広さや種類、消防用設備の内容などによって、費用は変動します。
建物が広くなれば、それに伴って消火栓の設置数も増えるため、費用が高くなる傾向があります。たとえば、大型の商業施設や工場などでは、広い範囲をカバーするために複数の消火栓を設置する必要があるため、費用は高くなるでしょう。
また、商業施設や病院、集合住宅などの建物の種類によっても、必要な消防設備工事は変わります。
屋外消火栓の設置費用はさまざまな要因によって変動するため、設置を検討するときには、専門業者に見積もりを依頼し、建物の状況や消防基準に基づいた費用を正確に把握することが重要です。
屋外消火栓の設置に関するご相談なら
屋外消火栓は、屋外からの消火活動に用いられる消防用設備です。屋外消火栓には、必要な道具がすべて格納されている「器具格納式消火栓」、地面の下に設置される「地下消火栓」、地面の上に設置されている「地上消火栓」の3種類があります。
屋外消火栓を設置するときは、建物からホース接続口までの距離が40メートル以内であることや、一定の大きさで赤字に白文字で記載することなど、消防法施行令第19条に基づいて設置しなければいけません。
設置にかかる費用は建物の種類や広さ、必要な消火設備の種類などによって大きく変わるため、専門業者に見積もりを依頼するといいでしょう。
屋外消火栓の設置を検討している方は、「カメガイ防災設備株式会社」へご相談ください。「まちの安全を守る会社」として、名古屋を中心に、小牧、江南、一宮、春日井、扶桑町、大口町など幅広い地域で消防設備点検・工事などを行っています。
設備費用に関するご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。