誘導灯の設置や導入を検討している人のなかには、「誘導灯はどこに設置するべきなのか」「設置基準について知りたい」と考えている方もいるでしょう。
誘導灯は、火災や不慮の事故で停電したときに、経路をはっきりと示す照明器具です。消防法施行令第26条や自治体の条例などによって設置義務が定められているため、対象の施設は適切な場所に設置が求められます。
この記事では、誘導灯の種類や設置基準、免除される建物・場所についてわかりやすく解説します。誘導灯を導入しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
誘導灯とは?
誘導灯とは、火災や大規模な災害などが起きたときに安全に避難できるように、避難口や避難方向を示すための照明設備です。
消防法施行令第26条と各地方自治体の火災予防条例などによって規定されており、劇場や旅館、病院などの不特定多数の人が多く集まる場所に設置が義務づけられています。
また、共同住宅や工場、避難や消防活動が困難となる高さの階数、建物の11階以上などでも誘導灯を設置することが必要です。
常用電源で点灯させ、断線や停電などの非常時は自動で非常電源に切り替わる仕組みです。そのため、暗闇のなかでも避難方向を示すことができます。
誘導灯の種類
誘導灯の種類は、主に以下の4つです。
- 避難口誘導灯
- 通路誘導灯
- 客席誘導灯
- 階段通路誘導灯
それぞれ詳しく解説します。
避難口誘導灯
避難口誘導灯とは、緑色の地色に白色の矢印で避難出口の場所を示す誘導灯であり、一般的に「非常口のマーク」として認知されているものです。
主に、非常口のドアの上や直通階段の出入り口などに設置し、有効に避難できる出入り口であることを示します。
誘導灯の周りには、まぎらわしいものや誘導灯をさえぎる灯、広告物、掲示物などを設置してはいけません。また、音声によって誘導案内「非常口はこちらです」が繰り返し流れるものや、点滅式で目立つ誘導方式のものもあります。
通路誘導灯
通路誘導灯とは、白色の地色に緑色の矢印で避難出口のある方向を示す誘導灯であり、廊下や階段、そのほかの避難上の設備がある場所に設置します。
曲がり角や避難口誘導灯の有効範囲内の箇所への設置が定められているのが特徴です。
避難口誘導灯と同様に、誘導灯の周りには、まぎらわしいものや誘導灯をさえぎる灯、広告物、掲示物などを設置してはいけません。
通路誘導灯にも、繰り返し「非常口はこちらです」と音声で案内するものや、点滅して目立つように誘導するタイプがあります。
客席誘導灯
客席誘導灯とは、劇場やホールなどの客席に設置される誘導灯です。座席の端や通路に沿って配置され、非常時に観客を安全に誘導する機能があります。
足元を常時照らす、規定以上の明るさを保つための誘導灯で矢印などの表示は必要ありません。
避難通路の床面を有効な範囲内で照らされるように、客席の通路部分に設けられています。
階段通路誘導灯
階段通路誘導灯とは、階段や傾斜のある通路に設置される誘導灯です。一定の明るさを保つための誘導灯となっています。
段差や方向を明確に示し、安全な避難通路をサポートできるものであり、非常灯に代用が可能な場合もあるのが特徴です。
誘導灯の設置基準をわかりやすく解説
誘導灯の設置基準は、消防法施行令第26条や消防法施行規則第28条3により、厳密に定められています。
ここでは、誘導灯の設置基準をわかりやすく説明します。
避難口誘導灯の設置場所
避難口誘導灯は、以下3つの設置基準が設けられています。
- 屋内から直接地上へ通ずる出入り口
- 直通階段の出入り口、避難口に通ずる廊下または通路に通ずる出入り口
- 避難口に通じる廊下または通路に設置する直接手で開けられる場所
また、以下のように設置間隔が定められているのが特徴です。
区分 | 避難方向を示すものがない(距離) | 避難方向を示すものがある(距離) |
---|---|---|
避難口A級 | 60m | 40m |
避難口B級 | 30m | 20m |
避難口C級 | 15m | ー |
通路誘導灯の設置場所
通路誘導灯は、以下の4つの設置基準が設けられています。
- 曲がり口
- 主要な避難口に対する有効範囲内
- 廊下または通路の各部分を通路誘導灯の有効範囲に包含するように設置
- 通路誘導灯間の設置
また、以下のように設置間隔が定められているのが特徴です。
区分 | 避難方向を示すものがない(距離) | 避難方向を示すものがある(距離) |
---|---|---|
通路A級 | ー | 20m |
通路B級 | ー | 15m |
通路C級 | ー | 10m |
誘導灯の設置が免除される建物・場所について
誘導灯の取り付けは、建物の規模や避難通路の状況によっては免除される場合があります。
例えば、窓や階層がない小規模の建物、居室のどの場所からでも避難口が容易に見渡せて識別できるといった場合は、免除される可能性があるでしょう。
避難口誘導灯と通路誘導灯においては、以下の範囲内であれば設置が免除されます。
避難口誘導灯 | 通路誘導灯 | |
---|---|---|
避難階 | 歩行距離20m | 歩行距離40m |
避難階以外 | 歩行距離10m | 歩行距離30m |
ただし、実際に免除の対象になるのは、避難口までの見通しの状況次第であり、所轄の消防署や条例などによって判断されるため、注意が必要です。
誘導灯の設置に関するご相談なら
誘導灯には、主に避難出口の場所を示す目的の「避難口誘導灯」や「通路誘導灯」、足元を常時照らす「客席誘導灯」、一定の明るさを保つ「階段通路誘導灯」の4種類があります。
消防法により設置基準が定められているため、不特定多数の人が多く出入りする建物や場所には、基準等を理解し、正しく設置することが大切です。
誘導灯の設置を検討している方は、「カメガイ防災設備株式会社」へご相談ください。「まちの安全を守る会社」として、名古屋を中心に、小牧、江南、一宮、春日井、扶桑町、大口町など幅広い地域で消防設備点検・工事などを行っています。
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