非常警報設備は、火災や災害時に活用される重要な防災設備です。
特に学校や病院、商業施設などに設置され、音声やサイレンで危険を伝える役割を担います。
火災による死亡原因の多くは「逃げ遅れ」とされており、命を守るためには危険を素早く知らせ、迅速な避難を促すことが大切です。
この記事では、非常警報設備の役割や設置基準について解説します。非常警報設備の種類についても紹介するので、非常警報設備について知りたい方はぜひ参考にしてください。
非常警報設備とは?
非常警報設備とは、火災や地震などの緊急時に警報を発し、迅速な避難を促すための設備です。
一定の建物では、消防法に基づき、非常警報設備を設置することが義務付けられています。とくに、不特定多数の人が利用する学校や病院、商業施設などでは、関係者が適切な設備の設置・維持を行う必要があります。(※参考:消防法第17条、消防法施行令第21条)
たとえば、学校や病院、商業施設など多くの利用者がいる建物への設置は欠かせません。
非常警報設備は、素早い避難を促し、災害時の被害を最小限におさえるためにも、消防法に基づいた設置が必要です。
非常警報器具との違い
非常警報設備と非常警報器具は、どちらも火災や災害時に警報を発するための防災設備ですが、用途や設置基準に違いがあります。
非常警報設備は、火災や災害が発生したときに警報を発し、避難を促すための設備です。この設備には、非常ベルや非常放送設備などの音響装置が含まれます。(消防法施行令第21条)
また、自動火災報知設備を含める場合もありますが、消防法上は別の設備として扱われることが一般的です。非常警報設備は、一定の規模以上の学校・病院・商業施設・ホテルなどの防火対象物に設置する義務があります。設置基準は、建物の用途や収容人数に応じて異なります。
一方、非常警報器具は、非常警報設備の設置義務がない小規模な建物向けの簡易的な警報装置です。拡声器や手動サイレンなどが該当し、電源不要で簡単に使用できる反面、建物全体に警報を行き渡らせるには限界があります。(消防法施行規則第23条)
非常警報設備と非常警報器具は、それぞれの建物規模や用途に応じた適切な設置が求められます。
非常警報設備の設置基準
非常警報設備の設置基準は、建物の規模・用途・法令基準によって異なります。以下の防火対象物では、消防法に基づき非常警報設備の設置義務があります。
・学校、病院、劇場、ホテルなど、不特定多数が利用する施設で収容人数が50人以上のもの
・その他の建物で、収容人数が300人以上のもの
・地上11階建て以上の高層建築物
・地階3階以上の建築物
さらに、規模が特に大きい建築物では、非常警報設備に加えて追加の設備が必要になる場合があります。たとえば、収容人数800人以上、地上11階以上、地下3階以上の建築物では、非常ベルや自動サイレン、放送設備の設置が必要です。
また、非常警報設備は、建物内のどこにいても警報が確実に届くように配置しなければなりません。施設の管理者や関係者は、法令に基づき設備を適切に設置し、定期的な点検を実施することが求められます。
非常警報設備の種類
非常警報設備には、いくつかの種類があります。
主な設備は、以下の3つです。
・非常ベル
・自動式サイレン
・放送設備
それぞれの特徴を紹介します。
非常ベル
非常ベルは、火災発生時に警報音で危険を知らせ、迅速な避難を促すための装置です。
通常、自動火災報知設備と連動し、火災を感知すると自動的に作動します。また、手動で作動させるタイプもあり、火災に気づいた人が、押しボタンを操作することで周囲に危険を知らせることが可能です。
非常ベルの作動方式には、「一斉鳴動方式」と「区分鳴動方式」の2種類があります。
一斉鳴動方式は、建物内のすべての非常ベルが同時に鳴動する方式です。学校や病院、商業施設などの大規模施設から、小規模施設まで幅広く採用されています。
区分鳴動方式は、最初に特定のエリアのみ警報を鳴動させ、その後、必要に応じて全館で警報を鳴らす方式です。病院や高層ビル、複合施設などで多く採用されています。
自動式サイレン
自動式サイレンは、火災発生時に警報音を鳴らし、迅速な避難を促すための重要な防災設備です。主に、工場や大型施設など、広範囲に危険を知らせる必要がある場所で使用されます。
火災感知器(煙感知器・熱感知器)が火災を検知すると、自動火災報知設備と連動し、警報を発して避難を促します。また、手動式発信機(押しボタン)を使えば、火災を発見した人が即座に警報を発することも可能です。
自動式サイレンの音量については、消防庁の基準により、装置の中心から1メートル離れた地点で90デシベル以上と定められています。これは、電車の通過音に匹敵する非常に大きな音量であり、騒音の多い環境でも警報を確実に伝えることが可能です。
放送設備
放送設備は、火災や地震などの緊急時に音声で避難誘導を行うための非常警報設備です。劇場や商業施設、病院、ホテルなど、多くの人が利用する建物に設置され、音声案内によって混乱を防ぎ、迅速な避難行動を促します。
放送設備は、多くの場合、通常時には館内放送システムとして使用され、緊急時には自動音声や管理者による手動アナウンスに切り替わる機能を備えています。これにより、避難経路や危険回避の指示を的確に伝え、混乱を最小限におさえることが可能です。
また、音声による情報提供は、視覚障がい者にとっても重要な避難手段となります。
非常警報設備の工事費用の相場
非常警報設備の工事費用は、設置する設備の種類や建物の規模、施工内容によって大きく異なります。一般的な相場は、以下の通りです。
非常警報設備の種類 | 相場目安 |
火災通知装置(非常ベルやサイレン) | 25万円~ |
非常放送設備 | 1台につき10万円~ |
自動火災報知設備 | 3万円~5万円 |
上記の工事費用はあくまで目安であり、建物の規模や設備の種類、施工業者によって費用が変わるため、事前に具体的な施工内容と見積もりを確認することが重要です。
非常警報設備に関するご相談なら
非常警報設備は、素早い非難を促し、被害を最小限におさえるために重要な防災設備です。
消防法により、学校や病院、商業施設など不特定多数が利用する施設のほか、収容人数や建物の階数に応じて設置義務があります。
しかし、ただ設置すれば良いというものではなく、建物の規模や用途に適した配置、定期的な点検が欠かせません。適切な運用ができていないと、非常時に警報が正常に作動せず、避難誘導が遅れるリスクもあります。
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