旅館・ホテルに必要な消防設備は?設置基準や点検の必要性についても解説
  • コラム
Date:2025/09/05

旅館・ホテルに必要な消防設備は?設置基準や点検の必要性についても解説

旅館やホテルは、多くの人が宿泊する施設であり、火災が発生した際には被害が大きくなる可能性があります。そのため、消防法や建築基準法に基づき、一定の消防設備の設置が義務付けられています。

消火器やスプリンクラー、火災報知器などの設置基準を正しく理解し、定期的な点検を実施することは、利用者や従業員の安全を守るうえで欠かせません。この記事では、旅館・ホテルに必要な消防設備の種類や設置基準、さらに点検の必要性について解説します。

 

旅館・ホテルに必要な消防設備

それでは早速、旅館・ホテルに必要な消防設備を「消火設備」「警報設備」「避難設備」に分けて解説していきます。

 

消火設備

消火設備

旅館やホテルには、火災発生時に初期消火を行うための消火設備が必須です。代表的なものに消火器や屋内消火栓設備があり、延べ面積が150㎡を超える施設では消火器の設置が義務付けられます。

また、延べ面積700㎡以上の建物では屋内消火栓設備の設置が必要です。さらに、大規模な施設ではスプリンクラー設備や屋外消火栓設備の設置が求められる場合もあります。それらの消火設備は、旅館やホテルにおいての火災の被害を最小限に抑えるために不可欠です。

消火器
初期消火を迅速に行うための一般的な消火器具で、延べ面積150㎡以上の旅館・ホテルでは設置が義務付けられています。

屋内消火栓設備
建物内部で消火用水を供給し、消火ホースを用いて火災を抑え込むための設備で、基本的に延べ面積700㎡以上の施設に必要です。

スプリンクラー設備
火災発生時に自動で散水し、火勢の拡大を防ぐ役割を果たす設備で、基本的に延べ面積6,000㎡以上の大規模施設で設置が求められます。

屋外消火栓設備
建物の外部に設置し、外部からの消火活動を可能にする設備で、基本的に延べ面積3,000㎡以上の建物で設置が求められます、

 

警報設備

警報設備

火災を早期に発見し、迅速に避難を促すために欠かせないのが警報設備です。自動火災報知設備は延べ面積300㎡以上の建物で設置が義務付けられ、火災の発生を感知すると自動で警報を発します。

また、延べ面積500㎡以上の施設では消防機関へ直接通報する火災報知設備も必要です。さらに、誘導放送を行う非常警報設備は収容人員が20人以上の施設に求められることがあります。それらの設備は火災発生時の初動対応を迅速化し、被害の拡大防止や宿泊者の安全確保に直結します。

自動火災報知設備
火災の煙や熱を感知し、館内に警報を鳴らして迅速な避難を促す設備で、基本的に延べ面積300㎡以上で設置義務が発生します。

漏電火災警報器
漏電による火災リスクを検知し、火災の未然防止に役立つ設備で、延べ面積150㎡以上かつラスモルタル造の建物に必要です。

消防機関へ通報する火災報知設備
火災を自動で消防機関に通報し、初動対応の迅速化に寄与する設備で、基本的に延べ面積500㎡以上で設置が義務付けられています。

非常警報設備
火災発生時に放送やサイレンで館内全体に避難を呼びかける設備で、基本的に収容人数が20人以上(300人以上では放送設備が必要)の施設には設置が必要です。

 

避難設備

避難設備

旅館やホテルでは火災発生時に、宿泊客や従業員が安全かつ迅速に避難できる環境を整えることが求められます。誘導灯や誘導標識も基本的にすべての施設で設置が義務付けられており、停電時でも非常灯として避難経路を明示します。

また、収容人数が一定数を超える場合や2階以上の階に宿泊者がいる場合には、避難はしごや救助袋などの避難器具が必要になることがあります。

それらの設備は、高層階からの避難や視界が悪い状況でも安全な脱出経路を確保し、迅速な避難行動を可能にすることで、火災時の被害軽減につながります。

誘導灯・誘導標識
一般的なホテル・旅館には設置義務があり、火災や停電時でも光で避難経路を示し、迅速かつ安全な避難行動をサポートします。

避難はしご・救助袋
窓やベランダから地上へ脱出するための経路を確保する設備で、「収容人数が2階以上の階で30人以上」などの設置基準があります。

参考:ホテル等に係る現行の規制の概要について

 

旅館・ホテルにおける消防設備点検の必要性

旅館・ホテルにおける消防設備点検の必要性

消防設備は設置して完了ではなく、定期的な点検・整備が不可欠です。消防法第17条3の3では、消防用設備等を設置した建物に対し、年2回の設備点検と、特定防火対象物であれば1年に1回、非特定防火対象物であれば3年に1回の点検結果報告が義務付けられており、旅館・ホテルは特定防火対象物に該当します。

点検には半年に1回実施する機器点検と、1年に1回実施する総合点検があります。機器点検では、消防用設備等の設置状況や損傷の有無、外観から判断できる異常の有無を確認し、操作によって機能を確かめます。一方、総合点検では設備の一部または全部を実際に作動させ、消防用設備の総合的な機能が基準を満たしているかを確認します。

点検結果は定められた様式に従い、点検結果総括表や点検票に記録して報告します。点検や報告義務を怠った場合、懲役や罰金などの罰則が科されることがあります。加えて、火災発生時に設備が正常に機能しなければ、人的被害や施設の信頼失墜といった重大な結果を招きかねません。定期点検は単なる法令遵守ではなく、宿泊者や従業員の安全を守る社会的責任でもあります。

 

旅館・ホテルの消防設備に関するご相談なら

旅館・ホテルにおける消防設備は、宿泊者や従業員の安全を守るために欠かせない存在です。消火設備・警報設備・避難設備の設置基準を理解し、定期的な点検を行うことで、火災発生時の被害を最小限に抑えられます。また、防火管理や防炎物品の導入も含めた総合的な防火対策が求められます。

なお、消防設備の設置・点検に関することは、ぜひカメガイ防災設備にご相談ください。名古屋市を中心に、小牧市、江南市、一宮市、春日井市、扶桑町、大口町など幅広い地域でサービスを展開しています。豊富な実績と専門知識を活かし、建物の規模や用途に合わせた最適なご提案が可能です。設置の必要性や具体的な費用などに関してのご質問に関しても、丁寧に対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。