適切な避難設備を設置することは、命を守るために欠かせません。突然訪れる緊急事態に備えるために、消防法によって多くの建物に設置・点検が義務付けられています。
しかし、「避難設備についてよく知らない」「どのような設備が必要かわからない」など、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、避難設備について詳しく解説します。避難設備の種類や設置基準についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
避難設備とは?
避難設備とは、火災、地震、停電などが発生したときに、建物内にいる人々が安全に避難するための設備や器具のことです。
避難設備には、避難はしごや緩降機などの「避難する人が直接使用する設備」と、誘導灯や誘導標識などの「避難する人を避難通路や階段などへ誘導するための設備」があります。これらの設備により、建物内での避難経路がしっかりと確保され、避難する人が迷ったりパニックになったりすることを防ぎます。
避難設備は、法的規制に基づいて設置する必要があり、定期的な点検やメンテナンスが必要です。日本では「建築基準法」や「消防法」により、避難経路や非常口への設置が義務付けられています。
避難設備の主な種類
避難設備にはさまざまな種類があり、種類ごとに使い方や特徴、設置基準などが異なります。
ここでは、代表的な避難設備である避難はしご・緩降機・救助袋・誘導灯の特徴について説明します。
避難はしご
避難はしごは、火災などが発生したとき、建物の高層階から地上に迅速かつ安全に脱出するための重要な避難具です。火災や地震などの緊急事態が発生したときに、避難経路が封鎖される可能性があるため、避難はしごは命を守るための重要な器具となります。
また、避難はしごにはさまざまな種類があり、用途や設置場所に応じて適切なものは異なります。避難はしごの種類は下記のとおりです。
種類 | 特徴 |
固定式 | 建物の外壁に固定されて設置されるタイプ。常時設置されているため、すぐに使用可能 |
立てかけ式 | 使用時に窓やベランダに立てかけて使用するタイプ。普段は収納しておく |
吊り下げ式 | 窓やベランダから吊り下げて使用するタイプ。コンパクトに収納可能 |
ハッチ格納式 | 床や壁のハッチに収納されているタイプ。緊急時にハッチを開けて使用 |
建造物の安全性を確保しておくことは、所有者や管理者の義務です。消防法が定めている設置基準に適合している場合は、必ず避難はしごを設置して避難ルートを確保しておきましょう。
緩降機
緩降機は、火災や地震などの災害時に高層の建築物から安全に避難するためのロープ状の設備です。
着用具を体に着けて自分の体重を使って一定の速度で緩やかに地上へ降下するため、他人の力を借りることなく、自重によって降下できる特徴を持ちます。
また、緩降機には「建物に備え付けてある固定式」と「持ち運びが可能な可搬式」の2種類あります。
種類 | 特徴 |
固定式 | 窓等の付近に設置されている取り付け具に、常に取り付けられているタイプ |
可搬式 | 格納箱に収納されており、使用時に格納箱から取り出して、窓等の付近に設置されている取り付け具のフックに取り付けて使用するタイプ |
緩降機は、ロープにぶら下がって降下する仕組みのため、使用時に必要な空地が少なくて済みます。また、取付器具であるため、バルコニーのような広い設置スペースも必要ありません。この特徴から、小規模な防火対象物に設置されることが多い避難器具です。
救助袋
救助袋は、避難するときに建物の窓やバルコニーなどから地上まで安全に避難するための設備です。滑り台のような形状をしており、避難者が中に入って地上へ滑り降りることで、避難を行います。
救助袋には、垂直に展張された袋の中をらせん状に滑り降りる「垂直降下式救助袋」と約45度の角度で傾斜を持たせて展張した袋の中を滑り降りる「斜降式救助袋」があります。
種類 | 特徴 |
垂直式救助袋 | 垂直に滑り降りるタイプ。場所を取らずに使える。 |
斜行式救助袋 | 斜めに滑り降りるタイプ。建物の外壁に沿って降下でき、安全性が高い。学校に多く設置されている。 |
救助袋は消防法によって点検が義務付けられています。必ず点検を行い、非常時に問題なく稼働させる状態にすることが必要です。
誘導灯
誘導灯は、建物内の人々がより安全に避難するために避難口や避難方向を示す照明器具です。暗闇や煙が充満した状況でも見えやすいように設計されています。
誘導灯には、主に「避難口誘導灯」「通路誘導灯」「客席誘導灯」の3種類があります。
種類 | 特徴 |
避難口誘導灯 | 避難口を明示するために設ける |
通路誘導灯 | ・避難方向を明示して避難方向に誘導するもの ・避難に有効な照度を与えるため避難経路となる階段などに設ける |
客席誘導灯 | 劇場などの客席通路に設ける |
誘導灯は、消防法により細かく規定され、映画館や病院、ホテル、デパートなど不特定多数の人が集まる場所には全階への設置が義務付けられています。また、定期的な点検やメンテナンスを行い、非常時に確実に機能するように維持することが求められます。
避難設備の設置基準
避難設備は、建物内のどこにでも設置していいわけではなく、設置基準があります。避難設備の種類によって、設置できる場所や用途、基準が異なります。また、病院や幼稚園といった自力避難の難しい方が多い建物には設置できない設備もあるのです。
避難設備には、以下の設置基準が設けられています。
地階 | 1階 | 2階 | 3階 | 4階 | 5階 | 6~10階 | 11階以上 | |
避難はしご | ◎ | ー | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ー |
緩降機 | × | ー | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ー |
救助袋 | × | ー | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ー |
誘導灯 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
◎:すべての防火対象物に設置可
〇:病院・老人福祉施設・幼稚園など以外に設置可
×:設置不可
ー:設置不要
避難設備の設置基準は、法律に基づいた厳格な規定に従っており、これにより建物内の人々の安全が確保されています。建物の管理者や所有者は、これらの基準を遵守し、適切な避難設備を設置・維持する責任があります。
避難設備の設置に関するご相談なら
避難設備とは、火災、地震などが発生したときに、建物内にいる人々が安全に避難するための設備や器具のことです。避難設備には、避難はしごや緩降機、救助袋など、さまざまな種類があり、設置できる場所や用途が異なります。
避難設備は、法律に基づいた厳格な規定に従って設置基準が定められており、対象となる建物は適切な避難設備を設置・維持しなければいけません。
カメガイ防災設備株式会社では、名古屋を中心に、小牧、江南、一宮、春日井、扶桑町、大口町など幅広い地域で消防設備点検・工事などを行っています。また、避難設備の取付工事と点検作業も実施しており、年間工事数300件以上、点検数5,000件以上実績を持つため、安心してお任せください。
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