泡消火設備の設置や導入を検討している人のなかには、「泡消火設備はどこに設置できるのか」「設置の基準や費用について知りたい」と考えている方もいるでしょう。
泡消火設備は、消火用の水に泡消火薬剤を混合させ、泡による窒息効果と泡を構成している水による冷却効果によって消火する設備です。主に、危険物取扱所や工場、駐車場など、火災が起こったときに大きな被害を及ぼすことが考えられる場所に設置されています。
この記事では、泡消火設備の種類や設置基準、導入する場合の費用について詳しく解説します。泡消火設備を導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
泡消火設備とは?
泡消火設備とは、水による消火方法では対処できないような、油火災などの消火を目的として使用される設備の一つです。空気と混ざった消火剤を泡として放出し、燃焼している物質の表面を覆う窒息効果により消火されます。
泡消火設備が設置されるのは、道路や屋内駐車場、危険物取扱所など、水による消火だと効果がない、もしくは、かえって火災を拡大させてしまうおそれのある場所です。
泡消火設備の設置基準は、「危険物の規制に関する政令」で定められており、対象の施設は政令に従って設置する必要があります。
泡消火設備の種類
泡消火設備にはいくつか種類があり設備方式や発泡タイプなどが異なります。ここでは、「設備方式」「発泡タイプ」「泡消火薬剤」の3つに分けて、それぞれ解説します。
設備方式
泡消火設備には、主に固定式と移動式の2種類があります。
固定式は、火災そのものに対して泡を放出する局所放出、区画全域に泡を放出して消火させる全域放出する方式がメインです。ほかに、屋内消火栓設備のような「低発泡」の方式があります。
移動式とは、低発泡の泡を屋内消火栓のように使用するものです。火災の状況に応じて、移動式のノズルを用いて消火活動を行います。
発泡タイプ
泡消火設備に使用される発泡タイプにも、以下のように種類があります。
発泡の種類 | 特徴 |
高発泡 | ・発泡倍率80以上1000未満 ・防護対象の表面を一気に被覆、防護対象の空間を埋め尽くすため、消火や抑制する目的で使用される |
低発泡 | ・発泡倍率20以下 ・流動性に優れ、主に可燃性液体の流出火災やタンク火災に用いられる |
この「発泡倍率」とは、泡水溶液と生成された泡の体積比(膨張比)のことを示しています。膨張比が20以下の低発泡は泡ヘッドから放出され、80以上の高発泡は専用の放出口から放出されることが特徴です。
泡消火薬剤
泡消火設備で使用される空気泡消火薬剤は、薬剤をノズルから噴出させ、周囲の空気を取り込んで泡を作り出す働きがあります。
そのなかでも、気泡消火薬剤にはたん白系と界面活性剤系の2種類があり、それぞれの特徴をまとめてみました。
たん白系 | たん白泡消火剤 | ・動物性たん白質を加水分解して形成 ・他の消火薬剤(合成界面活性剤、水成膜泡消火薬剤など)に比べて耐火性が高く、ガソリン等の液を素早く被覆消火 ・タンク固定消火設備用に使用 |
フッ化たん白泡消火剤 | ||
界面活性剤系 | 合成界面活性剤泡消火剤 | ・界面活性剤が原料で、長期間保存しても品質がほとんど変わらず、発泡効果も持続する ・流動性および展開性に優れているので流出油火災、自動車修理、整備工場、駐車場、危険物倉庫等の消火に適している |
水成膜泡消火剤 | ・フッ素系の界面活性剤を基剤とする泡消火薬剤 ・油面上に水成膜を生成 ・安定性が高く長時間にわたって再着火を防止 |
このように泡消火設備には複数の種類があり、火災の範囲や火災が起きた原因などに合わせて選択することが特徴です。
泡消火設備の設置基準・場所
泡消火設備は、消防法によって定められた設置基準があります。
設置基準の詳細に関しては、フォームヘッドを用いる場合、一つの放射区域の面積は、道路の用に供される部分は80㎡以上160㎡以下、その他は50㎡以上100㎡以下としなけばなりません。
また、道路の用に供される部分、駐車の用に供される部分、自動車の修理・整備に供される部分、飛行機・回転翼航空機の格納庫、屋上発着場、指定可燃物を貯蔵や取り扱う場所などへの設置が義務付けられています。
泡消火設備の設置場所は、以下のような決まりがあります。
設置基準 | 防火対象物またはその部分 | ||
令第13条 | 飛行場・空港 | 飛行機、 回転翼航空機格納庫 |
|
屋上部分 | 回転翼航空機、 垂直離着陸航空機の発着場 |
||
道路の用に供される部分 | 床面積:屋上部分、 それ以外の部分 |
・屋上で600㎡以上 ・その他の階で400㎡以上 |
|
自動車の修理または整備及び駐車の用に供される部分 | 床面積:地階、 2階以上の階 |
200㎡以上 | |
床面積:1階 | 500㎡以上 | ||
床面積:屋上(駐車の用に供される部分に限る) | 300㎡以上 | ||
機械式駐車装置 | 収容台数 10 台以上 | ||
指定可燃物 | 危政令別表第4で定める数量の1,000倍以上貯蔵し、 または取り扱うもの |
引用元:第5泡消火設備 総務省消防庁
このように、水による消火に限界があり、油火災が発生する可能性がある場所への設置義務がある消火設備といえるでしょう。
泡消火設備の設置費用について
泡消火設備の設置費用は、約100万円が相場です。ただし、建物の広さや種類、消防用設備の内容と個数によって変動します。
建物が広いほど消火栓の数も多くなり、必要な部品や事前準備、作業の工数などが増えるため、設備費用も高くなる傾向です。
また、商業施設や病院、集合住宅などの建物の種類によっても、必要な消防設備工事が変わり、費用に影響します。
泡消火設備の設置に関するご相談なら
泡消火設備は、水による消火方法が適さない油火災などの消火に用いられる設備であり、泡放出口から放出された泡による冷却効果と、油膜などを覆うことによる窒息効果により消火します。
固定式や移動式、低発泡や高発泡などいくつか種類がある消防設備です。火災が起きた場所や建物の状況、火災の原因などに合わせて消火活動ができるように、必要な泡消火設備を設置しなければなりません。
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