非常放送設備とは、火災や地震などの緊急時に、建物内にいる人々へ警報や避難指示を音声で伝えるための装置です。
発生した危険を速やかに知らせ、適切な避難行動を促すことで、安全を確保する役割を担います。一般的に、不特定多数の人が集まる公共施設や商業施設などで導入されている設備です。
この記事では、非常放送設備とは何かや、基本的な仕組み、設置基準、耐用年数について詳しく解説します。非常放送設備の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
非常放送設備とは?
非常放送設備とは、火災や地震などの緊急時に、建物内にいる人々へ警報や避難指示を音声で伝えるための装置です。発生した危険を速やかに知らせ、適切な避難行動を促すことで、人命の安全を確保する役割を担います。
通常の館内放送設備とは異なり、非常放送設備は、停電時でも稼働できることが求められ、法令に基づいて定められた設置基準があります。
次に、非常放送設備の基本的な仕組みについてみていきましょう。
仕組み
非常放送設備は、中央制御装置・電源装置・スピーカーなどで構成され、情報を音声や警報によって迅速に伝達するシステムです。通常の館内放送とは異なり、災害時に確実に作動するよう設計されており、停電時でも使えるよう非常用電源(非常用バッテリーまたは非常用発電機)を備えています。
非常放送の起動方法は、自動起動と手動起動の2つです。
自動起動は、火災感知器が作動すると、非常放送のアンプに信号が送られ、警報音や音声による避難誘導が自動で放送されます。一方、手動起動は、管理室などに設置された非常放送操作盤のボタンを押し、放送する区域を選択することで音声の送信が可能です。
また、非常放送設備は、火災報知器・スプリンクラー・防火扉・煙感知器などの防災機器と連動し、建物全体の避難誘導をサポートします。非常放送設備は、単独で機能するだけでなく、他の防災設備と組み合わせることで、より高い避難誘導が可能になるのです。
非常放送設備の設置基準
非常放送設備の設置基準は、施設の用途や規模、収容人員に応じて定められています。非常時に迅速かつ適切な避難誘導を行うため、一定規模以上の建物では設置が義務付けられています。
設置基準(収容人員に応じた設備の種類)
建物の用途や規模に応じて、設置すべき非常警報設備の種類が異なります。以下は、消防法施行令第24条による非常放送設備の設置義務が発生する基準の概要です。
収容人員 | 必要な非常警報設備(いずれか) |
20人以上50人未満 | 警鐘・手動サイレン・携帯用拡声器(メガホン) |
50人以上、無窓階または地階の収容人員が20人以上 | 非常ベル・自動サイレン・非常放送設備 |
300人以上・500人以上・800人以上の防火対象物、または地上11階以上・地階3階以上の建物 | 非常ベル及び放送設備、自動式サイレン及び放送設備 |
(参考:https://www.toa.co.jp/assets/files/pdf/catalog/f-003.pdf)
特に、大規模な建物や高層建築では、非常放送設備と非常ベルの併用が義務付けられているため、法令に基づいた設備の選定が重要です。
設置に関する技術基準
非常放送設備を適切に機能させるため、以下の技術基準が定められています。
操作盤・遠隔操作装置の設置 | ・管理室や防災センター、中央監視室など、常時人が配置されている場所に設置するのが望ましい。 ・非常放送設備の操作盤は、緊急時に即座に放送できるように明確な表示をつけることが求められる。 |
スピーカーの設置基準 | ・放送区域内のすべてのエリアで明瞭に音声が伝達されるよう、各部分からスピーカーまでの水平距離を10m以下にすることが基本とされる。 ・音量・音質の調整を行い、騒音環境下でも聞き取りやすい設定にする必要がある。 |
非常電源の確保 | ・非常放送設備は、火災や災害時でも確実に機能することが求められるため、非常電源(バッテリー・非常用発電機)の設置が義務付けられている。 ・停電時でも最低60分以上作動できる電源が必要とされ、規模によっては最大120分以上の稼働が求められる場合もある。 |
設置計画を進める際は、最新の消防法令やガイドラインを参照し、専門家と相談しながら適切に対応しましょう。
非常放送設備の耐用年数
非常放送設備の耐用年数は明確に定められた基準はありませんが、一般的に推奨される更新期間は10〜12年とされています。
各部品ごとの交換目安としては、スピーカーやアンプは約5年程度で音質や機能が低下するため、定期的な交換が必要です。また、バッテリーや電源装置などの消耗品は、約3〜4年程度での交換が推奨されています。
長期間使用することで、配線やバッテリー、アンプの劣化が進み、非常時に機器が正常に作動しないリスクが高まります。そのため、年に1回以上の定期点検を行い、必要に応じて交換や修理を行うことが大切です。
設置・交換費用の相場
非常放送設備を設置するときにかかる費用は、施設の規模や使用する機器の種類によって異なりますが、一般的な相場は100万円〜5,000万円程度です。この費用には、スピーカーやアンプ、中央制御装置などの機器購入費と設置工事の費用が含まれます。
また、部品の交換費用については、スピーカーやアンプが1台あたり数万円〜数十万円、中央制御装置は数十万円〜数百万円程度が目安です。これらの部品は経年劣化しやすいため、定期的な交換が求められます。特に音質や機能の低下が感じられた場合、迅速な交換が必要です。
非常放送設備に関するご相談なら
非常放送設備は、火災や地震などの緊急時に迅速に警報を発し、避難誘導を行うために欠かせない設備です。非常時の信頼性を確保するためには、設備の適切なメンテナンスと定期的な部品交換(スピーカーやアンプ、電源システムなどの交換)が欠かせません。
カメガイ防災設備株式会社は、設備設計から設置、メンテナンスまで一貫して対応できる専門業者です。地域に密着した実績と豊富な経験をもとに、施設のニーズに応じた最適な非常放送設備の導入をサポートしています。
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