火災や地震などの万が一の災害時に備えて建物に設置される避難設備には様々な種類があり、その一つに「緩降機」があります。
今回の記事では「緩降機とは何か?」というテーマで、仕組みや特徴、設置基準、価格・費用相場などを解説します。緩降機について知りたい方や、避難設備の整備をご検討中の方はぜひご覧ください。
緩降機とは?
火災などの非常時に、建物の上階から安全に地上へ避難するための避難設備の一つです。学校やマンション、福祉施設、事務所ビルなど、主に中高層の建物に設置されており、煙や炎によって階段での避難が困難な状況の際にも、避難手段として活用できるように設計されています。
年齢や体力に左右されにくく、比較的多くの人が使用できる点も特徴で、高齢者や体力に不安のある方の避難にも配慮された設備です。万一の際に人命を守る重要な役割を担う設備といえるでしょう。
仕組み・構成
緩降機には、複数の部品があります。中核となるのが本体(調速器)で、避難者の体重を利用しながら降下速度を一定範囲に制御する装置です。遠心式ブレーキを採用したものが主流で、急激な落下を防ぎ、安定したスピードで地上まで導きます。
本体にはカラビナが接続されており、取り付け金具にワンタッチで装着でき、使用中に外れない構造になっています。降下に使用されるロープは、内部にワイヤーが組み込まれ、その外周を繊維で覆った高強度仕様で、建物の高さに応じた長さになっています。
体に装着する着用具は、ベルト状で体をしっかり保持でき、両手を離してもずれ落ちにくい設計で、降下中の身体への負担や痛みを軽減する工夫も施されています。
【種類別】緩降機の仕組み・特徴

緩降機は主に固定式と可搬式に分けられます。
それぞれの仕組みや特徴などを解説します。
固定式
建物の外壁やバルコニー、避難用開口部などに常設されているタイプです。使用時は、設置された場所で、避難者が器具を装着し、順番に地上へ降下します。日常的に目にする場所に設置されていることが多く、非常時でも位置を把握しやすく、迅速に使用できる点が大きな特徴です。
マンションや学校、福祉施設、事務所ビルなど、多くの人が利用する建物で採用されるケースが多く見られ、建物の用途や規模に応じて計画的に設置されます。定期点検や維持管理が行いやすく、常に使用可能な状態を保ちやすい点もメリットといえるでしょう。
一方で、設置工事が必要となるため、導入時には一定のコストや工期がかかります。建物の構造や設置場所を考慮したうえで、計画的に導入することが重要です。
可搬式
普段は専用の格納箱に収納しておき、非常時に必要な場所へ持ち運んで使用するタイプです。使用時には、格納箱から本体を取り出し、窓やバルコニー付近にあらかじめ設置された取付け用フックに接続して降下します。
常設しないため、景観や日常利用の妨げになりにくい点が特徴で、建物の用途や構造に応じて柔軟に配置できるのもメリットです。
一方で、非常時に運搬や設置作業が必要になるため、事前に保管場所や使用手順を確認し、定期的な訓練を行っておくことが重要です。
緩降機の設置基準

消防法施行令第25条および関連規則に基づき設置基準が定められています。避難器具全般に共通する考え方としては、避難時に容易に接近できる位置に設けること、安全に使用できる開口部に設置すること、そして常時使用可能、または速やかに使用できる状態を保つことが求められます。加えて、建物の用途や階数、収容人員に応じて必要個数が定められており、人命を確実に守るための配置が求められます。
緩降機に関しては、取付部の開口部下端は床から1.2m以下とし、床面が高い場合にはステップなどを設置して安全に使用できる構造にする必要があります。また、壁面からロープ中心までの距離や降下空間の確保、フックの取付高さ、ロープ長さなども細かく規定されており、降下時にロープが損傷せず、安定して地上へ到達できることが前提となります。
なお、それらの基準は専門的かつ複雑であり、建物の構造や用途によって適切な判断が求められるため、自己判断での設置は安全面でリスクを伴います。法令に適合した安全な設置を行うためにも、消防設備に精通した専門業者へ相談・依頼することが重要です。
参考:避難器具《設置基準一覧》
緩降機の価格・費用相場

緩降機の価格は、一般的な仕様の製品で約20万円〜25万円程度がひとつの目安となります。性能や対応高さ、使用人数、メーカーなどによって差はありますが、多くの施設で採用されている標準的な緩降機はその価格帯に収まるケースが多く見られます。
一方、実際に導入する際には、本体価格に加えて取付工事費が必要になる点にも注意が必要です。建物の構造や設置場所によっては、取付部の補強工事や足場の設置が求められることもあり、その場合には総費用が高くなりがちです。
また、消防法に基づく定期点検や維持管理の費用も継続的に発生するため、導入時には初期費用だけでなく、長期的な維持コストも含めて検討することが大切です。
避難設備に関するご相談なら
緩降機をはじめとする避難設備は、万一の火災時に人命を守るために欠かせない重要な設備です。建物の用途や規模、利用者の特性に応じて、適切な器具を選定し、法令に沿って正しく設置・維持管理することが求められます。設置や更新、メンテナンスに際しては、専門業者に依頼するのが基本です。
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